認知力の維持は質のよい眠りから



年齢を重ねると、だれもが、記憶力の低下を多少なりとも感じるようになってきます。


この記憶力の低下に強くかかわっているのが、アミロイドβプラーク(オリゴマー)とタウタングルと呼ばれる2種類のタンパク質です。


記憶力、ひいては、認知力を維持するには、このふたつのタンパク質の性質を知っておく必要があります。


ドイツのアルツハイマー博士が、アミロイドβプラークとタウタングルの塊を発見したのは1906年ですが、それから100年以上が経った今でも、アルツハイマー病の研究対象はこのふたつが中心になっています。


アミロイドβは、神経細胞がメッセージをやり取りする時にシナプスで放出されるタンパク質で、その生成を避けることができないものです。


いわば、頭を使えば生み出されるものといえます。


このアミロイドβそのものには害がないのですが、これが脳内に過剰に蓄積し、2つ以上結合すると毒性を持ったアミロイドβプラーク(オリゴマー)が作られるようになります。


年を取ると、だれしもアミロイドβが脳内に蓄積するリスクが高まります。


今までは、酸化や炎症によってアミロイドβの蓄積が起こると考えられていたので、ふだんから抗酸化物質を積極的に摂ることが大切だと言われ、また、動物実験では、緑茶やワインのエキス、カフェイン、クルクミン、ブルーベリーやいちごを与えるとアミロイドβの蓄積が減ることから、これらの食品にも注目が集まっていました。


もちろん、それらも大切な防護策になりますが、「脳は寝ている間にデトックスされる」で紹介したように、実は、質の良い睡眠こそがアミロイドβの排除、そして、記憶力の保持になにより欠かせないものであることがわかってきています。


オリゴマーの毒性とは、神経細胞の基礎構造を支えるタンパク質〜タウ〜を壊してタングル(もつれ)を作ることです。


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壊れたタウがもつれてからまったのがタウタングルで、このタウタングルが、情報シグナルや栄養が運搬されている神経細胞間の伝達経路を塞いでいきます。


自然災害で幹線道路が破壊されていくようなものです。大切な生活物資や情報が届かなくなるのです。


脳内では、情報シグナルや栄養素の運搬が減って、認知力の低下が起こります。さらに、状態が悪化すると神経細胞そのものが衰弱して、最後には神経細胞そのものが死んでしまうのです。


タウタングルを増やさないためには、そもそもの原因であるアミロイドβの過剰な蓄積を避ければよいということになります(続く)。



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