体内時計をととのえるトロピカルフルーツ



脳は寝ている間にデトックスされる」で紹介した通り、脳にとって睡眠はとても大切なものです。


眠ることで、脳が、老廃物や認知力低下の根本原因となるβアミロイドを脳外へ排出しているからです。


さらに、睡眠をとることで、その日の記憶を編集しなおしたり、記憶のコントロールセンターである海馬内の神経細胞間の結合を強化したりしています。


このように、睡眠は、記憶の定着のためにも欠かせないものなのです。


睡眠不足は気分にも影響します。


それは、睡眠不足によって、気分を前向きにさせるDHEA濃度が低下するからです。


そのため、ストレスを感じやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりします。注意力や学習効率も低下します。


脳をシャープに保ち、気持ちよい一日を過ごすためには、よく眠ることが必要です。


睡眠のカギとなるのがメラトニンです。脳内の松果体と呼ばれる組織から分泌されるメラトニンは、サーカディアンリズム、いわゆる体内時計を調節しているホルモンです。


夕方から上がり始めたメラトニン濃度は、夜中の2〜3時にピークになり、目覚めに向かって、じょじょに低下していきます。メラトニンが〝睡眠ホルモン〟と呼ばれるのは、このように、わたしたちの覚醒と睡眠のサイクルをつかさどっているからです。


トロピカルフルーツがメラトニン濃度を増やす


このメラトニンの体内産生は年を取ると少なくなります。


中年期以降に眠りが浅くなるのは、メラトニン量の減少が大きく影響しています。


睡眠不足や不眠症改善のために、海外では、サプリメントとしてのメラトニンがよく使われていますが、体内のメラトニン量は、食品によっても増やすことができます。


なかでもよいのがトロピカルフルーツです。


体内のメラトニン量は、メラトニンの代謝産物である6-スルファトキシメラトニン(6-sulfatoxymelatonin)量を調べることでわかります。


30人の健康な人に、6種類のトロピカルフルーツを1種類ずつ1週間にわたって集中して食べてもらい、1週間のウォッシュアウト(食べた果物の影響を体内から抜く期間)を置いたあとに、別のフルーツを1週間食べてもらうかたちで、6-スルファトキシメラトニン量を計測していきました。


その結果、6種類すべてのトロピカルフルーツに〝睡眠ホルモン〟メラトニン量を増やす働きがあることがわかりました。


とくに顕著だったのがパイナップルとバナナです。6-スルファトキシメラトニン量が、パイナップルで266%、バナナで180%も増加したからです。


メラトニンは〝気分を安定させる神経伝達物質〟セロトニンから作られるので、パイナップルやバナナには、気分をおだやかにさせる働きもあるということになります。



参照)Dietary intake of melatonin from tropical fruit altered urinary excretion of 6-sulfatoxymelatonin in healthy volunteers.