柔軟な思考を可能にする流動性知能



年齢とともに進化していく結晶性知能と異なり、低下していくのが、新しい世界に適応していくための知能〜流動性知能〜です。


新しい趣味や習い事にチャレンジしたり、目の前で起こっている変化に対処したり、危機的な出来事を乗り越えたりするのに必要なのがこの流動性知能です。


そのピークは20〜25歳といわれ、40歳を境に急激に低下します。


わたしたちは、不透明性が増していく世界に生きています。


過去に体験したことがない課題をクリアしていく〝柔軟性〟がだれにも求められているといえます。


流動性知能はワーキングメモリを鍛えることで改善することができます。


それは、流動性知能とワーキングメモリが神経ネットワークの多くを共有しているからです。そのため、ワーキングメモリを鍛えると、流動性知能が改善されていくのです。


ワーキングメモリとは、情報を一時的に記憶し、それらを保ちながらほかの情報を処理したり、一時的に記憶した情報を編集したりする時に使われているもので、認知力の中央コントロールセンターのようなもの。


これ以上はないといってもいいほど大切な認知機能です。


なにかを作業する時に欠かせない記憶力であるところから、〝作業記憶〟とも呼ばれています。


たとえば、だれかと会話するときは、相手の話を理解するという作業をしながら、自分の意見を述べるという別の作業をしています。


話しながら、相手との過去の会話を思い出していることもあるでしょう。これだけで、三つの情報を脳のなかの〝作業机〟に並べて処理していることになります。


旅行を計画している時は、行きたい場所をいくつか候補に挙げて〝作業机〟に並べ、予算をにらみながら、目的地ごとに交通運賃や宿泊費がいくらかかるか考えます。


暗算するときに使っているのもこのワーキングメモリです。


年を取ると新しいことを学ぶことが苦手になるのには、ワーキングメモリの衰えによって、情報を〝作業机〟に並べられなくなっていくことも関係しています。


ワーキングメモリを鍛えることは、認知力全般を底上げするだけでなく、流動性知能を高めます。ワーキングメモリは、取り組む価値がある認知力といえるでしょう。